無知の恐さを実感した話。
こんにちは!
ルワンダでの生活も半年が過ぎました。
日本を発つときに私の背中を押してくれた春風は、
きっとちょっと荒めの秋風に変わっていて。
秋の味覚が恋しいなーと思いながら、私は今日もジャガイモを食べています(笑)
ルワンダのジャガイモは本当においしいので、お勧めです!!
肥沃な土壌がたくさんの栄養を与えてくれているのでしょうか。
さて、今回は、「無知の恐さを実感した話」です。
先日イスラエルまで旅へ行ってきました。
イスラエルを選んだ理由は、ルワンダと国の状況が似ていたから。
面積が小さく、内陸国のイスラエルは、世界的に「スタートアップの地」として有名になりました。
ルワンダの先駆者として一歩先を歩むイスラエルをこの目で見たいと思ったのです。
実際に訪ねてみて、イスラエルのイノベーションを肌で感じることができました。
しかし、それ以上に私の心に残ったものは「パレスチナ問題と向き合った時間」でした。
センシティブな問題なので、私の感じたことをこうやって公開するべきかどうかは迷いましたが、きちんと自分の感じたことを自分の言葉で残しておきたい。
そう思ったのでここに書き残しておこうと思います。
もし、意見や指摘があったら教えてください!
私がパレスチナの中でも最も衝撃を受けたのが「ヘブロン」という地。
ここは、パレスチナでも唯一、イスラエル入植地とパレスチナ領地が混在している地域だそうです。
例えば、道のいたるところにチェックポイントがあり、チェックポイントではイスラエル兵が、通行人のIDをチェックします。
パレスチナ領に住むパレスチナ人は、そのチェックポイントを通過することはできません。パレスチナ人が通行できる道、運転できる道が限られているのです。
それを破れば自らの命を危険にさらすことになります。
現在も、イスラエルの入植地は拡大していて、パレスチナの建物を燃やしたり壊したり、占領したりしています。
ヘブロンのマーケットでは、天井にネットが設置されています。
なぜかというと、2階に住むイスラエル人が石やごみを投げてくるからだそうです。
「ネットを設置したら次は液体が降ってくるけど、そんな嫌がらせには負けない。ここは私たちの土地だから。」
そんな声も聞きました。
マーケットの出店数も急激に減ったそうです。
イスラエルによって店のドアが壊されたり、壁が作られたり。
当時にぎわっていたマーケットも今はしんと静まり返っています。
恐怖を感じ、住人は街を去る。
治安を恐れ、観光客も滞る。
マーケットで物を売る生活は今では非常に厳しいと足を止めるたびに言われました。
外国人観光客として街を歩く私と、この地で自由を制限されながら生きる彼ら。
目が合うたびに心が痛みました。
もう一か所、印象に残ったのが「ベツレヘム」という地。
イエス・キリストの生誕地としても有名で、多くの観光客が訪れます。
そして、もう一つ有名なのが分離壁。
イスラエルとパレスチナの間にそびえたつ壁を見ることができます。
多くの観光客が訪れますが、私はそれにすごく疑問を感じました。
(そういう私も足を運んだのですが・・・)
現地の人々にとって監獄とも感じる壁。
イスラエル兵の監視が厳しく、一歩間違えれば自分の命も奪われてしまう恐怖の壁。
一方で観光客は、自分のインスタのため、パシャパシャ写真を撮っている。
現地の人はこの光景をどのような思いで見つめているのだろうか。
実際に聞いてみると、
「ここに来る人々は2種類の人がいる。
一つ目は、自分のためだけに写真を撮りに来る人。
二つ目は、ここに訪れ写真を撮ることで、今パレスチナで起こっていることを伝えようとする人。」
バンクシーの作品たちも、「自分の絵を通じてもっと多くの人にこの問題と向き合って欲しい。」という彼の想いから生まれたもの。
私が唯一パレスチナのためにできることは、後者になることだと思いました。
自分が実際に足を運んで得た感情を伝えることだと。
宿泊先では、過去の悲惨な状況を聞きました。
クリスマスの前夜。
デコレーションや料理を済ませ、翌日のクリスマスを家族全員で待ちわびていると、家を突然訪ねてきたのはイスラエル兵たち。
「家に銃がないか確認したい。」と許可なく侵入してきたそうです。
綺麗にした床には、泥だらけの彼らの足跡が。
飾りつけをした家具はすべてひっくり返され、タンスの中身はすべて出されたそうです。
武器がないことを確認したイスラエル兵は一言、
「メリークリスマス」を残して去っていったそうです。
クリスマスを祝う準備を整え、家族の笑顔が溢れていた家は、モノが散乱した場所に、一瞬にして変わってしまったのです。
泣きながら一晩中掃除をした、と話してくれました。
聞いているだけで胸が締め付けられそうになりました。
「自由」とは何か。問い続けた一週間でした。
自分の生活がどれだけ恵まれているのか。痛感した一週間でした。
自分がもし壁の中での生活を強いられたら。
現状を変えようと声を外に届けることさえできなかったら。
恥ずかしながらパレスチナに行くまで、こんな問題があると知りませんでした。
自分では世界で起きていることに関心があると思っていたけれど、私は何も知らなかった。
初めて「無知は恐い」と思いました。
世界で起きているすべてのことを知るには、人生が1000年あっても足りないかもしれない。
けれど、「知ること」に貪欲でいたい。「学ぶこと」をやめたくない。
そう思えた一週間でした。
私の価値観が大きく変わった旅。
行って良かったと心から思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!